本の印税に関してのお話
こんにちは、(株)ダニエルズアーク代表の大原です。
お陰様で、「売れない時代にすぐ売る技術」に関しての評判も良く、元同僚や楽天の店舗様、その他いろんな方からも感謝のご連絡をいただき、こうして出版出来てとても良かったなと感じています。
印税に関しては、出版社から振り込まれた当日に、その全額を震災のあった熊本地域の復興支援団体に寄付させていただきました。
書籍の中にもチラッと書いているのですが、私が楽天時代に企画した「熊本買って応援企画」のご縁もあり、やはり印税は僕が受け取るのではなく、この場所に収めるのが気持ち的に一番しっくりくるなと思ったからです。
震災から3年半経った今も、1万人近い仮設住宅居住者がいるのが現実です。
さて、少しこの熊本地震の「買って応援企画」を楽天時代に企画した時のお話をさせてください。
実は、熊本地震発生直後のこの時期、日本にはある風潮が漂っていました。
それは、みなさん体験された「自粛モード」です。
「こんな時にCMをやるなんて」「こんな時にビジネスをやるなんて」「こんな時に楽しい事をするなんて」そういった悪しき不謹慎狩りが蔓延していました。
楽天社内でも同じく、CMやメルマガを取り止めたりと、完全なる自粛ムードで、僕もその対応にヒイヒイと追われていました。
ですが、この自粛をしたところで、熊本地域が復興していくわけではありません。
自粛は、前向きな取り組みというよりも、むしろ「叩かれないように」という後ろ向きな取り組みの方が大きいように感じます。
自粛によって、ますます経済が停滞していく。
この空気は、そんな負のスパイラルしか生まないものだと僕は感じました。
そんな時に見たのが、熊本のアンテナショップにできていた行列のニュースでした。
少しでも商品を買って熊本にお金を落とす事で、現地の人の応援になる。
ボランティアや高額の寄付まではできないけれど、ちょっと嬉しい気持ちで復興に参加できる。
そういった人たちが、お店に押し寄せていたのです。
それを見た時に「これだ!」と思いました。
「買って応援」という企画なら、熊本の直接の応援になっていくかもしれない。
この企画を会社でやりたいと、強く思いました。
しかし、当時の私はまだ新卒2年目。
社員1万人の大企業にあって、社長に企画を直接提案するなどという事は、失礼極まりない事でした。
ただ、楽天という大きな会社こそ、それをやる意味がある。
自粛モード全開な日本に、少しでもポジティブな空気を送り込む必要がある。
そう、強く思いました。
その気持ちが勝り、私は震える指で社長に企画書を送りました。
相当怒られるだろうと思っていましたが、三木谷社長はあっさり快諾してくれました。
そして、多くの役員やマネージャーの協力のもと出来上がったのがこの「熊本買って応援企画」でした。
結果として、この企画には、4万3千人もの方が参加、Yahooもこの企画を受けて同じ「買って応援企画」を開催、ちょっとしたネット上での応援ブームになりました。
その時は、熊本のショップの方からも、たくさんの「ありがとう」の声をいただきました。
そして、この時私は、買うという事、売るという事は、こんなにも希望があるものなのかという事を全身で感じたのでした。
それまで私は、「お金」や「商売」というものは後回しに考えるもの、少し汚いものと捉えていましたが、こんなにも前向きなものなのかと。
これは、ある意味私が今ビジネスをやっていく中での原体験にもなっています。
そして、そんな思いを丸っと込めて書いたのが、今回の本でした。
「売れない時代にすぐ売る技術」
タイトルだけ見ると、売上至上主義のような感じが強いですし、実際読まずにネットで悪口だけ書く人もいます。
しかしこの本は、単に「ジャンジャンすぐ売って儲けよう」というテクニックよりも、「買う事、売る事はきっと誰かの応援につながっている」。
少し照れくさいですが、そんな根本的な願いを込めて、執筆させていただきました。
ここまで私を育ててくれた楽天という会社、また今回の出版に際して協力して下さった出版社や編集担当者、プロデューサー、また、様々なアドバイスを頂いた多くの楽天の仲間や元上司には本当に感謝しております。
今年も、ビジネスのポジティブな面を見続けながら、引き続き精進していきたいと思います。
ダニエルズアークをこれからもどうぞよろしくお願いいたします。
今回印税を寄付させていただいた団体
※熊本地震発生直後、代表の大原が現地のボランティアでお世話になった団体です。